経営者や管理者からすると会社の業務が順調に進んでいるのかいないのかは把握しにくいものです。そんな進捗状況がはっきり分かると安心できますし、いま何を改善すべきかの判断ができます。会社のすべての業務の現状が目で見えるようにする「見える化」に取り組んでみませんか?もしまったく「見える化」に取り組んでいない会社にとっては大きなメリットが期待できます。
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▼今回の目次です
- 中小企業もトヨタに見習え!「カイゼン」の見える化
- 「見える化」の具体的な取り組み例
- 「見える化」は問題発見ばかりじゃない 販促活動にも使えるよ
- 数字だけのデータはゴメン!色付きグラフでアイデアが出てくる
- 「見える化」の究極形 思い切って社内の情報をフルオープン
中小企業もトヨタに見習え「カイゼン」の見える化
トヨタが行っている改善技法、トヨタ生産方式は「カイゼン」という言葉で有名ですが、その重要な考え方のひとつに問題やミスを隠したりせずに社員に公開するというものがあります。
これは問題やミスを文書や写真などで目で見えるようにすることで、すべての社員に問題やミスの原因を周知徹底し、改善につながるからなんです。
「見える化」というのは実は単純で、誰でも分かりやすい問題発見と、それを解決する方法なのです。見えた問題について、社員自らが知恵を出して解決してくれるとてもすばらしい方法なのです。
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「見える化」の具体的な取り組み例
さきほども言ったように「見える化」というのは、何をしたら良いのかを、だれもが見えるようにしておくということです。仕事がうまくいっているか、そうでないのか、何が売れているのか、売れていないのか、それを毎日の仕事のなかで具体的に見えるようにすることです。
そうすると、社内でどこに問題があるのか明らかにすることができます。会社や職場の仕事が計画通りに進んでいるのか、いないのか、それを口頭で伝えるだけでなく見えるようにして、それに対して社員が自分で何をすべきか、自発的に行動するようにすることが大切です。
例えば、次のような「見える化」の取り組みもあります。
- 売上や生産状況が計画通りに進んでいるのか実績をグラフで示す
- 業務スケジュールやプロジェクトの進行状況をチャートで示す
- ホワイトボードに主な実績状況やタスクリストを書いて共有する
- 売り場の陳列を見れば売上状況がわかるように商品の並べ方を工夫する
- キズがついていたり傷んで劣化した不良品を隠さず見えるようにしておく
「見える化」は問題発見ばかりじゃない 販促活動にも使えるよ
また「見える化」にはこんな方法もあります。ある飲食店ではトイレの片隅に掃除予定の確認表が貼られています。これは社員の業務管理用で清掃計画と清掃忘れがないのかの確認表なのでしょうが、お客さんにとってもきちんとトイレ清掃に力を入れているお店だと安心します。
このように、お客さんにとっても会社に親しみや信頼をもってもらう「見える化」もあるんですね。スーパーなどで野菜に生産者の名前や写真を入れるのも親しみや信頼をもってもらう方法のひとつです。
「見える化」は問題発見ばかりでなく、さまざまな活動に有効で、なんと販促活動にさえ活用できてしまいます。社内のさまざまな業務について「見える化」の取り組みを始めたらいかがでしょうか?
数字だけのデータはゴメン!色付きグラフでアイデアが湧き出る
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今日ではPCという便利な道具がありますので、売上データや仕入れデータなどが数字できれいにプリントアウトされてきます。それを単に表にするだけでなく、色付きのグラフにして視覚的にわかりやすいようにしてデータを活用しましょう。
このとき、ただグラフ化するだけでなく、その問題や対応策についても発想しやすいように表現方法を工夫します。
それには、1つのデータを顧客別や製品別、前月や過去の同月比との対比といった具合に、さまざまな観点から見たり比べたりすることが必要です。何が起こっているのか、どうすればもっと良くなるのか、そうした発想につながるようなデータ活用を工夫しましょう。
「見える化」の究極形:思い切って社内の情報をフルオープン
重要な情報ということで経営者や管理者が業績にかかわるデータを隠していると、社員の協力はいつまでたっても得られません。データを掲示して会社と一体になってがんばる、そして、がんばると自分にも報いがくるという励みが必要です。また、会社や職場の話題についても掲示板などに掲示しておくべきです。
売上業績や利益率、不良率など成果に関する情報は、全社員で共有できるように掲示しましょう。このような掲示物は、いつも同じものでは社員は注目しなくなります。必要なタイミングで、また定期的に内容を更新しましょう。